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新年あけましておめでとうございます。
皆様には、健やかに新春を迎えられたことと、お慶び申し上げます。

さて、今回は長崎市内から車で約20分ほど走らせ、山の中腹にある閉鎖循環式の養殖場を視察してきました。
そこの担当者様は海面養殖の経験もあり、その時に感じた環境の変化や、病気にかかる魚を見て、約20年間、自費で閉鎖循環式養殖の研究を行ってきたそうです。

現在、山の中にある養殖場はクエを12,000尾飼育されています。
クエは育つのに時間がかかる魚です。
しかし養殖するには早く、大きく育てなければ採算性がありません。
こちらの施設では成長速度を速めるために飼育海水の塩分濃度を通常の3%より低く設定し、さらに自作のボイラーで温度管理を行いクエを1年で1kgまで大きくさせています。
こちらの技術はトラフグを始め、様々な魚種にも有効です。

閉鎖循環式養殖は水を循環させる訳ですから、水の管理がとても重要になります。
・水の水質を維持させる
・飼育魚の最適な水温に保つ
・水の中に溶け込む酸素の調整
・ゴミや糞尿を取り除く 
等様々です。これらの環境を管理、維持するために、それぞれの設備、機械が必要になります。そうなると養殖設備自体が複雑化してしまいます。

しかし今回視察を行った養殖場はとてもシンプルなシステムで設計されていました。
水の浄化のために水槽と浄化専用の水槽に粉砕された貝殻を底に敷き詰める。これだけで
魚に取って毒となる亜硝酸を分解させ、水質を安定させることができています。

水温はなんと自作でボイラーを作り、建築廃材等の捨てられる木材を燃料として、水温を管理しています。これにより、水温調整をする機械と電気代はかからず飼育ができます。

酸素については、通常、液化酸素を使うため、外部に大きな貯蔵タンクを作り、酸素を供給しなければなりませんが、こちらの施設は液化酸素などは使わず、水面から少し飛び出している管から酸素と空気中のバクテリアを水の中に供給するだけです。

これらの様に、構造も原理もかなりシンプルに作られており、とても分かりやすい仕組みとなっていました。

環境にも、ランニングコストにも優しい設計と感じました。

これから養殖事業全般は、世界的な食料不足や海洋問題の影響で注目されていく仕事になると思われます。そのためには養殖のシステムの簡素化、シンプルにし、さらに事業性を高めていく必要があります。
それらの課題をクリアしていくために、この様な新しいシステムや設備の発展が必要不可欠なのではないでしょうか。
EECLも再生可能エネルギーの活用や、脱炭素社会へ向けて新たな発展を模索していかなければならないと思っています。

1月 3rd, 2022

Posted In: お知らせ

今回のブログ内容は、少し趣向を変えて私が実際にとある陸上養殖場で働いていた時に感じた、楽しかったことを書いていこうかと思います。

養殖というのは、命を扱うものですからやることは山のようにあります。
朝出社したらまず魚のチェック、水槽の酸素濃度、水温をチェックし、問題なければ餌やり、餌の食いつきをチェック、酸素ポンプはきちんと作動しているか、他にもやることはありますが、午前中はこの作業に追われます。
それらが終われば、次は餌を作ります。当時私がお世話になっていた養殖場は、冷凍のイカやアジ、サバを購入し、それらを粉砕機にかけて生エサをつくっていました。
最近はドライペレットの餌も性能があがり、軽くて栄養価の高いそちらのペレットを使用するようになりました。
それら以外にもトラフグの出荷準備のための個体サイズを合わせるための選別、フグは歯がある魚なので、お互いを傷つけないために、歯をペンチで切る歯切り作業、これらはもちろん一匹ずつ手作業で行います。
最初にも記載した通り、生き物を相手にしているので、気を抜くことはできません。
しかしこれら一つ一つが魚にとってより良くするものなので、無事にすべての魚が出荷されたときは、一従業員としてもうれしくあり、大きな安心感、やり遂げた達成感を味わえます。一尾でも多く、安心で、おいしいトラフグを出荷することを目指して日々努力することが大切な仕事でした。

7月 26th, 2021

Posted In: お知らせ

前回、第1回目の“テーマ:トラフグ養殖”についてブログでご紹介させていただきました。
今回はエネルギーコンサルタント会社であるEECLが“トラフグ養殖事業”に興味を持ち検討を進めることになった経緯をご説明します。前述したとおり、EECLは山口県下関市でエネルギーコンサルタント会社です。会社起業当初から今日に至るまで、顧客の様々なニーズに合わせた再生可能エネルギー設備導入の計画づくりを手掛けてきた経験があります。一方で、地球温暖化の影響により海面温度上昇や赤潮の発生等海洋環境変化により、これまで通りの養殖事業が持続できず困っている養殖事業者を目の当たりにしてきました。そこで、これまでの弊社の経験を活かし、陸上養殖における水槽内の水温管理を再生可能エネルギーで行い、環境負荷を低減した養殖事業が実現できないかを考えるに至りました。
トラフグを例に出すと、冬の低温水期、夏の高温水期は餌の歩留まりが悪くなります。
しかし、飼育水槽内の水温をコントロールすることで、
・給餌率を一定に保つことができ、成長率が安定する。
・海水温等の環境に左右されず、幅広い魚種の飼育も可能。
等のメリットが得られます。
前回でも述べたように、今後の漁業は取るものではなく、人の手で魚を作っていく時代に変わりつつあり、その変化に柔軟に対応していくとこが大切になっていくのではないでしょうか。

6月 21st, 2021

Posted In: お知らせ

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